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ソフィア総合研究所の考え方

「実業」と「虚業」


今年の8月13日に、東証一部上場の不動産会社「アーバンコーポレイション」が東京地裁に民事再生手続き開始を申し立てました。負債総額は2558億円で、今年国内最大の経営破綻と言われています。これは、昨年夏から明るみに出た、米国に端を発するサブプライム住宅ローンの破綻が原因となっています。続いて、今月9月15日に、米国の証券大手「リーマン・ブラザース」が、同じサブプライム住宅ローンの関連で経営破綻に追い込まれました。さらに、米国保険最大手の「AIG」の経営破綻が予測されるにいたって、米連邦準備制度理事会が、約9兆円の公的資金を投入すると発表しています。

最近のこのような一連の不幸な出来事に接して、私がつくづく思うのは、最近の数年間「虚業」がやりたい放題のことをして、「実業」を食い物にしてきた結果、その「付け」が今、回ってきたのではないかということです。そこで、日本のマスコミがあまり取り上げていない、このような「虚業」の実体について、何回かに分けてこの欄でご紹介したいと思います。

まず、「アーバンコーポレイション」のケースです。同社の経営破綻の特徴は、「黒字倒産」であるということです。同社の2008年3月期の連結売上高は、前期比35%増の2436億円、連結当期利益は311億円でした。普通なら、倒産するような財務状況ではありません。ところが、資金繰りに行き詰まって民事再生法に基づく申請に追い込まれました。その原因は、マンションの建設・販売という「実業」を推進する際に、「虚業」の仕組みを使ったことにあります。同社のマンション建設の手順は次のようなものでした。

まず、古くなって魅力が無くなった土地建物を購入します。そして、それを魅力のある建物に造り替えます。こうして再生された新しい魅力的な物件を販売します。これを繰り返します。このような循環型のビジネスモデルで、1990年創業の同社は、目覚ましい成長を遂げ、1992年3月には、東京証券取引所一部に上場を果たしています。

ところが問題は財務の内容にありました。古い物件を購入するための資金は、銀行から借り入れます。その物件に新たにマンション等を建設するなどして、魅力のある物件に再生し、地価も上がったところで、投資ファンドに売却します。これによって巨額の利益を手に入れることができました。ところが、この循環に綻びが生じました。

昨年夏に始まったサブプライム住宅ローンの破綻の影響を受けて、投資ファンドに資金が集まらなくなり、完成した物件が売れなくなったのです。それを見た銀行が、新しい資金の貸し付けを渋るようになりました。結果は明らかです。巨大な利益を上げ、財務上は黒字であるにもかかわらず、資金繰りに行き詰まり倒産ということになりました。

この破綻のベースには、「実業」を行うにあたって、投資ファンドという「虚業」を利用しようとしたことがあると考えます。「実業」に「虚業」をうまく取り込んだつもりが、逆に「虚業」に飲み込まれてしまったということではないでしょうか。このように考えると、「虚業」というものは、経営にとって本当に怖いものだと思います。その怖さの中身については、回を追って説明していきます。

さて、次回は、「サブプライム住宅ローン」のからくりについてお話しします。