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ソフィア総合研究所の考え方

「実業」と「虚業」(その3)


前回は、「サブプライム住宅ローン」産業の急激な拡大と発展を支えたのが、担保となっている住宅の継続的な価格の上昇であり、住宅の価格が下落を始めた途端に、破綻に陥ることは必然の結果であったということについてお話ししました。

今回は、この「サブプライム住宅ローン」産業の拡大を促進したもう一つの仕組みである、「サブプライム住宅ローン」の「証券化」についてお話しします。

通常、住宅ローンの貸し出し債権は、それを扱った会社が資産として持ち続ける必要があります。したがって、次の住宅ローンを売り出すためには、新たな資金を用意することが必要になります。このことは、急激なビジネスの拡大に対しての抑制要因として働きます。

もちろん、この貸し出し債権を誰かに売ることはできます。もし買い手がつけば、売却して得た代金は、新たな住宅ローンを販売するための資金として活用することができます。しかし、その買い手はかなり限定されます。その住宅や借り手が住んでいる地域に拠点があって、借り手の信用度や住宅の価値などの必要な情報を容易に手に入れることができる投資家しか、この住宅ローン債権を買おうという気持ちにはなりません。リスクの程度が分からないからです。

ここで、債権の「証券化」という手法が登場します。「サブプライム住宅ローン」の場合について説明すると、この「サブプライム住宅ローン」債権を大量に集めて、証券を作ります。証券にすれば、その中身はどのようにでも設定することができます。証券の買い手が買い易いように中身を作ることができるのです。個人に対しては少額の証券、銀行などの大手の顧客に対しては巨額な証券と、どのようにでも設定することができます。これによって証券化された「サブプライム住宅ローン」債権は、全世界の金融市場に売り出されることになりました。

この証券化された住宅ローン債権が買い易くなったもう一つの理由があります。それは、元の住宅ローン債権のリスクを、その証券の「格付け」で置き換えたということです。これによって、買い手は、買おうとする証券の格付けだけを念頭において購入の判断をすればよいことになりました。これは、すべての証券化された金融商品について言えることです。

このように、証券の中身の多様性と「格付け」による保証によって、証券化商品に対する人気が沸騰し、巨額な資金が投入されることになりました。バブルの発生です。しかもそのバブルは世界中に拡散することになりました。

そして、前回お話しした2007年8月9日木曜日に、BNPパリバが引き金を引いたバブルの破綻が幕を開けます。しかも、今回の破綻は、連日マスコミが報じているように、1929年に始まった、かっての世界恐慌を越える規模の大恐慌となるのではないかとの懸念が広がっています。とすれば、これから起こることは、われわれの誰もが経験したことのない、それだけに対応の難しいものとなることが予想されます。

わが国もこの嵐の圏外ではありません。当社の大手株主の中にも、現在の世界的不況の影響をまともに受けて、対策を講じ始めた企業が複数あります。かなり厳しい状況下にあるようです。当社も、徐々に影響を受け始めています。当社としても、生き残りをかけて、必要な対策を、早めに、厳しく、確実に講じる必要があると考えています。すでに幹部の方とは協議を始めていますが、社員の皆様にも、このような状況をご理解いただいて、積極的に協力して下さることをお願いしておきます。

ともかく、企業としては、生き残ることが至上命題です。